ステージが開き、最初は陽子がソロで舞台上に立つ。
陽「トモキ遅いなぁ。連絡してみようかな?」
陽子が広場で彼を待っている場面から始まる。
月「くちゃっ、くちゃっ、ティッシュ、くちゃっ、いかがでしょうか?」
口を動かしながら、ゆっくり陽子に近づいてくるティッシュ配りに扮した月華。
陽「いや、大丈夫です。」
月「お姉さん、くちゃっ、くちゃっ、誰かとここで待ち合わせですか?」
陽「そうだけど?っていうか、あなた仕事中でしょ?ガム噛みながらしてんの?」
陽子が言った直後、月華は躊躇いなく口に手を入れて、噛んでたものを出す。
月「違います、ティッシュです!」
ここで観客が初めて分かるような笑い声を上げる。
陽「なんでティッシュ食べてるのよ!」
月「この広場でティッシュ配りしてたんですけど、今、12時じゃないですか?」
ここで月華は敢えて言葉を区切る。少しの間。
陽「・・・いや、全然意味がわからないんだけど。」
観客が再び笑い声を上げる。笑い声のボリュームが落ち着くまで少し間を作る。
陽「12時。あー、お昼ご飯のつもりだったってこと!?」
月華が口をまっすぐ結びながら、真面目な顔のままで頷いてみせる。
月「今月、まだお金がなくて。急にお腹空いたなーって。でもまだたくさんあるんで、大丈夫かなって思います!」
陽「あなた、お腹空いたらティッシュ食べてんの!?ヤギかっ!」
陽子のフリに間を開けず、少し被せるくらいに返す。
月「牡牛座です!」
陽「星座の話してんじゃないわ!」
ここまで連続で山場を作り、観客の反応も良好。2人は手応えを掴んだ。
月「ところで、誰と待ち合わせなんです?」
陽「なんで見ず知らずのあなたに言わなきゃならないの?まあ、彼氏よ彼氏!」
月「えっ!?じゃあ、ティッシュいかがですか?」
察しが良い一部の客が大声で笑う。
陽「なんで!さっきから全然話が繋がらないのよあなた。」
月「いやー、使うかなって。・・・拭く時とか。」
観客席から引き笑いが聞こえる。元アイドルの月華が言うことが、なおさら客を笑いに惹きつける。
陽「・・・使う場面があっても、あなたからもらったティッシュはやめとくわ。顔が浮かぶし。」
ここで少しだけ間を作り、話題の転換点を客に暗示する。
陽「でも、クリスマス前だっていうのに、仕事大変ね。あなたこそ可愛いしモテるでしょう?」
月「全然全然。恋人いないし、お金もないしで、大変なんです。」
陽「そう。ティッシュ配ってどのくらいになるの?」
月「そうですね。私が口に入れたティッシュは、相場より高いんで、なんとか生計を立てられます。」
観客が沸く。
陽「特殊すぎるでしょ!まともに働きなさいよ!」
このフリで、月華は顔を抑えて泣き始める。
月「・・・ひどいです。どんな仕事だって立派な仕事で、職業で人を差別してはいけないっておばあちゃんが言ってましたっ!」
泣く月華にオロオロして、謝る陽子。
陽「・・・言いすぎた。ごめん。確かにそういうのは良くないわ。」
陽子が月華の肩をさすり始めると、ゆっくりと抑えていた手をはずして顔を上げる。その顔は頬がパンパンに膨らんでいる。
陽「!?」
拍手を交えた笑い声に包まれる会場。
陽「なに、なに、なにしてんの!」
月「・・・、ふぃっふ!」
陽「ティッシュ?」
大きく目を開けて眉毛がVの字、ティッシュを詰め込んで膨らんだ頬のまま、陽子に頷く。
陽「一体何枚詰め込んでるのよ!・・・っ、フグみたいな顔して!」
月華の顔を直視してしまうと笑ってしまうので、陽子は節目がちにツッコミを入れる。
少し間を取り、月華の顔を観客に見せる時間を作る。
月「あ!ふみまへーん、ふぃっふ、いははれふはー!」
そう言いながら、月華は一度舞台袖の方に走って行く。オチに進むための流れだ。
陽「ったく。へんな子だった。それにしても、全然トモキ来ないなぁ。ドタキャン?」
陽子は待ち合わせ時間に来ない彼氏にイラだち、もう帰ろうかと考えているそぶりをする。
舞台袖から再び月華が登場し、陽子に駆け寄ってくる。
月「今の売れて、お金ゲットしましたー!彼氏さん来ないなら、私と食事に行きませんか?」
陽「・・・、しごできっ!」
これがオチの一言。舞台が暗転し、暗闇は割れんばかりの拍手に包まれた。
SanAndMoomは、無事に用意してきたネタをやりきった。




